6月の第3日曜日。今年は15日が「父の日」だ。
カレンダーには小さく印がついているものの、うっかり忘れてしまうイベントナンバーワンといっても過言ではないだろう。
母の日には、カーネーションやスイーツの広告が町中にあふれ、感謝も気持ちを伝える演出が盛んだ。
一方、父の日はと言えば、店頭で控えめに並ぶネクタイやビール、気がつけば終わっていたという人も少なくない。「お父さんって、いったい何が喜ぶんだあろう?」そんな疑問を抱いたまま、結局なにもできずに過ぎてしまう人も多いはずだ。
父の日の起源は、20世紀初頭のアメリカ。南北戦争かあら戻らなかった父に感謝の気持ちを捧げたい、そんな想いをもった娘が教会に働きかけたことが始まりだという。「言葉にできない感謝」をどうにか形にしたいという思いが根底にある。
たしかに父は言葉が少ない。いつも背中で語り、細かなことには口を出さない。少し不器用で、照れ屋で、でもどこか頼りがいがあって、気がつけばそこにいる。
普段意識しないからこそ、いざ言葉にしようとすると難しい。「ありがとう」の一言がどうにも照れくさい。しかし年に1度、そんな気持ちを伝えられる日があるというのは、ある意味ありがたいことなのかもしれない。
なにも高価なプレゼントはいらない。LINEで一言でも、ひさしぶりの電話でもいい。あるいは、帰省したときに「いつもありがとう」とつぶやくだけでも。案外そんなさりげない言葉が父にとっては一番うれしいのではないだろうか。
今年の父の日、ほんの少しだけ勇気をだして、あの無口な背中にやさしい言葉を贈ってみてはどうだろう。